第75章 美鈴、私たちに赤ちゃんができた

北城の秋は、昼と夜の温度差が激しい。

江森美鈴は車の中で窓を開けた。

ごうっと夜風が流れ込み、頬を叩き、長い髪を乱暴に散らす。

目元は少し赤く、小さな顔は街灯の下で透けるほど白かった。

二宮慎矢は黙ったまま彼女を見ていた。風が入り込むのも、彼女がそうしているのも、止めもしないし、諭しもしない。

牧野達也に頼んで海外へ白崎宗介を探しに行かせたとき、いつか白崎宗介を利用して江森美鈴を欺く日が来るかもしれない――そんな可能性を、考えなかったわけじゃない。

ただ、その決断を先回りして下したのが牧野達也だっただけだ。

自分が身勝手で、卑劣で、彼女の心が別の男に向くのを許せないのだと、慎矢...

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