第76章 二宮慎矢、お前には一生無理だ

「赤ちゃんができたぞ!」

病院のロビーは人でごった返し、羨望の視線があちこちから突き刺さる。

けれど江森美鈴の脳裏に浮かんだのは、二年前の、あの冷え切った部屋だった。腹の中にいた命が――床に広がる、目を焼くような血溜まりになった光景。

二宮慎矢。あなたには資格がない。この先一生、二度と子どもを持つ資格なんて。

美鈴は思考を引き戻し、彼の手を払いのけた。

「文字は読めるわ。そんな大声で念押ししなくていい。結果、先生に見せましょう」

田中実里が美鈴の脚にしがみつき、顔を上げて興味津々に覗き込む。

「ママ、ほんとに赤ちゃんいるの? じゃあ実里、お姉さんになるの?」

二宮慎矢はようや...

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