第83章 二宮慎矢が疑い始めた

案の定、男の顔がほんの一瞬だけ曇り、瞳の奥に罪悪感がよぎった。

二年前、彼女が流してしまった子のことを思い出したのだと、美鈴にはわかった。

彼の機嫌が沈めば沈むほど、彼女の胸は少しだけ軽くなる。

あれこれ選びに選んで別荘へ戻ったころには、もう深夜だった。

江森美鈴がとくに口を挟まないものだから、二宮慎矢は目についたベビー用品を片っ端から買い上げてしまった。

部屋でシャワーを浴び、美鈴が出てくると、外で加藤がドアを叩く音がした。

「旦那様、お選びになったベビー用品が数台分届きました。北栄に運び入れますか」

ソファに腰掛けた慎矢が、淡々と答える。

「うん」

濡れた長い髪をタオル...

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