第97章 君を家に連れて帰る

酔っているように見えるのに、彼が彼女の肩に置いた手はやけに強かった。

江森美鈴は歯をがちがち鳴らし、顔から血の気がさっと引く。それでも振りほどけない。

二宮慎矢は焦点の定まらない目で彼女を見つめたまま、もう一度だけ確かめるように言った。

「美鈴……本当に、お前なのか?」

酒は入っている。だが、見間違えるほどではない。ただ、あまりにも唐突すぎて――酔いが見せた幻みたいに思えてしまう。

昨夜もそうだった。危うく新谷理子を、彼女だと見間違えかけた。

美鈴は震える手でポケットのスマホを探り、白崎亮介に電話をかけようとする。けれど彼はまだ個室にいる。

今ここへ呼んだらどうなる。彼の同僚や...

ログインして続きを読む