第61章:謝ることは何もない

ブライオニー視点

「もし、その傷痕を全部消す方法があるとしたら、やるか?」タリクが訊いた。

毛布の上に置いた自分の手を見つめた。何もかもあったわりに、想像していたほど痛みは強くない。もっとも、二週間も意識を失っていたのだから、それで楽になっているのかもしれない。

ビクトリアの仕業を消してしまう? この痕は、正義がいつだって勝つわけじゃないこと、力のある人間は罰も受けずに何度でも他人を傷つけられることを、毎日突きつけてくる。

「できるなんて思ったこともない」ようやく私は言った。「傷は一生ものだって。銀の残りがあるやつは、ストレスが溜まったり疲れたりすると今でも開くの。こんなに時間が経っ...

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