第112章

 水原美香は水原家の庶子として、盛大な宴会に参加した回数など数えるほどしかなかった。水原家は金持ちではあるが、名門とは言えず、名媛の宴のような盛会は言うまでもない。

 この五年間、高橋逸人について見識を広めていなければ、きっと劣等感で不安になっていただろう。

 高橋逸人と一緒なら、招待状がなくても入れるのに、今は彼との関係がこんなにぎくしゃくしていて、チケットを頼むどころか、自分の顔を見ることすら嫌がるだろう。

 母はなぜ承諾したのか?

 彼女には理解できなかったし、考えたくもなかった。母が承諾したのだから、母に解決させればいい。

 自分の手にあるこの招待状だけは、何があっても人に...

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