第161章

 警察署の取調室。

 ふたりは引き離され、そのまま徹夜で取調べが始まった。

 刑事が口を開く。「名前は?」

 「菅原やま」

 「田中夢子」

 刑事は続ける。「どうして水上翔を殺した?」

 ほんの一瞬で、田中夢子はひとつの事実に気づいた。柏木燕の死については、今この時点で、自分以外は誰も知らない。

 つまり――この時間をうまく利用して、誰かに保釈してもらい、裏で少し手を回すことさえできれば、証拠も証人もないまま、全部を闇に葬れる可能性がある。

 捕まるまで、田中夢子の神経は張りつめっぱなしだった。牢屋が怖い。死ぬのも怖い。自分の持っているものがすべて灰になるのが怖い。

 その...

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