第168章

 スタッフは、スクリーンに跳ね上がっていく数字を見つめたまま、ぽかんと口を開けて固まっていた。もう落札を宣言するのも忘れて、その場で呆然と見入ってしまう。

 スクリーンの価格表示は、なおもじわじわと変動を続けていた。

 フロアのバイヤーたちは、もう見るのをやめていた。金の使い方で勝負するなら、二階の個室に陣取っている連中には到底かなわない。

 水原蛍は松本賢一の袖を掴み、こめかみに冷や汗をにじませる。

「相沢さん、もういいです、これ以上は追加しなくて大丈夫です」

 悠南個室にいる客の正体に、彼女はうっすらと心当たりがあった。

 あの男以外に——

 誰がいるっていうのよ。

 こ...

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