第174章

「私も同意します」

九条雅の意識は、いまやすっかり孫に向いていて、それ以外のことなどどうでもよくなっていた。

どうせ口先だけの約束。そんなもの、何の意味があるというのか。

深夜3時。高橋逸人は、暗号回線の着信音に叩き起こされた。この時間にかけてくる相手は、村田舟しかいない。そしてこの時間だということは──田中夢子に動きがあった、ということだ。

「捕まえたか?」

電話に出るなり、高橋逸人が問う。

「捕まえましたよ。いやぁ、さすがお坊ちゃん。あと30分遅かったら、本当に取り逃がしてましたね」

「そうか」

高橋逸人は短く応じてから、水原蛍を揺り起こした。

「起きろ。現場まで行く。...

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