第207章

「もうこんな時間だぞ。たとえまだ禁区に残ってたとしても、もうとっくに──」

「黙りなさい」村田瞳美が鋭く睨みつける。「縁起でもないこと言わないの」

「……待て。今、前のほうで何か音がしなかったか?」

男の捜査員が片手を上げて会話を制し、数人が銃を構えて物音のしたほうをじっと睨む。

あたりは真っ暗で、足元すらおぼつかない。この先、茂みから飛び出してくるのがイノシシなのか、それとも猛獣なのか──誰にも断言できない。

数人はおそるおそる足を踏み出し、投げ込んだ照明弾の赤い光に照らされながら前進していく。銃口は一斉に林の奥へと向けられていた。

やがて、少し先の森の中に、別の炎の明かりが見...

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