第220章

「ふん。あたしがこんなのに引っかかると思ってるわけ?」

水原蛍は不機嫌そうに高橋逸人を押しやりながらも、さっきまで取っ組み合いをしていたせいか、それとも心のどこかで高橋逸人にもう一度だけチャンスをやろうと思ったのか、珍しく毒舌を控えていた。

高橋逸人はというと、こういう時に限って妙に空気を読む。蛍を抱きしめた腕を緩めないまま、口では甘い言葉を並べ立て、手のほうはしれっと動き続ける。しっかりと彼女の身体のラインを確かめるように、ちゃっかりと触れていた。

蛍も、ふたりの間に誤解があったのは薄々わかっている。どう考えても、天城古雅がその一端を担っているのは間違いない。

今、高橋逸人がこうし...

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