第245章

 姫宮玲衣はそう言うと、ふいと遠くに視線を向けた。空では雪がしんしんと降り続いている。まるで、最初から一度も止まったことがないかのように。

 その横顔の眼差しは、どこまでも深く、どこまでも遠い。そこには、数えきれないほどの物語が封じ込められているようだった。

 目に映るものは、すべてが記憶。胸に浮かぶものは、すべてが過去。視界を満たすものは、すべてが、置き去りにしてきた悔い。

 水原蛍は、そんな姫宮玲衣を見つめ、胸の奥がきゅっと締めつけられた。女ひとりでここまでの立場を築くのが、どれほど大変なことか。想像はしていたが、これほどまでに「強い」女だとは思ってもみなかった。

 どうりで、高...

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