第261章

「こほっ、こほっ、その、蛍のことお願いしま~す。あたし、先に失礼しますね~」

太田まどかはバッグをつかむと、叱られる前にと、兎より素早く店を飛び出していった。

高橋逸人は、酔っているようで酔い切ってもいない女を腕の中に抱き込み、きゅっと結んでいた唇をゆっくり開いた。

「……バーなんかに来て、何してた」

水原蛍は彼のネクタイに指を絡めて弄びながら、ぽつりと漏らす。

「気分悪くてさ。お酒で発散しよーと思って」

「発散ね?」

高橋逸人の目がすっと鋭くなる。次の瞬間、彼は彼女を横抱きにして、奥歯を噛みしめた。

「なら、家で発散させてやる。嫌ってほどな」

向かった先は蒼湾別荘。

彼...

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