第265章

水原蛍は、正直に言って高橋逸人の反応が早かったことは認めざるをえなかった。けれど、それとこれとは話が別だ。さっきからの態度が気に食わなくて仕方がない。

水原蛍もまた、氷のような顔で、まともに彼を見ようともしない。

「何よ。私が契約書を置き忘れただけでしょ。それを取りに来たら悪いわけ? あんた、いったい何様のつもり? そんなに口を出したいわけ? 何でもかんでも問い詰めないと気が済まないの?」

高橋逸人は、どす黒い表情を浮かべた。

「水原蛍、調子に乗るなよ。今のお前の立場は、全部俺が与えてやったものだ。そんなお前に、俺に向かってその口の利き方は何だ」

「あなたが与えた?」水原蛍は鼻で笑...

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