第273章

 村田舟は顔を赤くしながら言った。

「ないよ。俺にとって、初恋は雪乃だけだ」

「本当に?」柳田雪乃は、まるで信じていない顔をする。

 村田舟はきゅっと表情を引き締めた。

「もちろん本当だって」

 その背後で、村田志沢は心底うんざりしたように肩をすくめた。

「妹よ……じゃねえ、村田舟のガキ、俺、前は気づかなかったけど……こんなにイタいやつだったか?」

 村田瑠美は首を振る。

「さあね。ただ、このガキ、口説き文句が次から次へと出てくるあたり、相当女の子たちをたぶらかしてきたわね。ふん、ろくな男じゃないわ」

「さっき、逸人に教わったって言ってなかったか?」

 村田瑠美は何も言わ...

ログインして続きを読む