第284章

 水原蛍がマンションの敷地から外へ出た瞬間、彼女は人だかりの中に東雲麻乃の両親の姿を見つけた。

 夫婦は四十代後半から五十代といったところだろうか。身なりは決して華美ではないが、生活に困っている風でもない。

 「見ろ、水原蛍が出てきたぞ!」

 どこかの記者が声を張り上げた途端、人垣がどっと動き、東雲夫婦を先頭に一斉に押し寄せてくる。

 「東雲麻乃さんを、どうやって殺したんですか?」

 「人を殺しておいて、恥ずかしいと思わないんですか?」

 「あなた、海外帰りのデザイナーだそうですね。そんな立場の人間がこんなことをして、世間に与える悪影響を考えたことは?」

 ――。

 怒号のよ...

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