第297章

ドアの外で中の会話を耳にし、数年前の如月おばさんの件が話題に上っていると気づいた瞬間、天城古雅の顔からさぁっと血の気が引いていった。胸の奥に、どうしようもない不安と恐怖がじわじわと広がっていく。

部屋の中では、高橋弘毅が黙り込んだまま、高橋国夫と高橋元の顔を順に見やった。三人は視線を交わし合い、やがて高橋国夫が口を開く。

「逸人、お前、もう一度よく考え直せ。じいさんは、お前が情に厚いのはわかってる。だが綾辻家は、絶対に許さないだろう」

「息子よ、父さんはお前を責めてるんじゃない。ただな、自分自身がどうしても納得できんのだ。もしお前の母さんが生きていたとしても、きっと賛成はしなかったろう...

ログインして続きを読む