第301章

セシルは力強くうなずいた。その瞳には、純粋な敬意が満ちている。

「行ってきなさい! 時間がないわよ!」

セシルが去ったあと、水原美香はきょろきょろと周囲を見回し、誰にも見られていないことを確認すると、ビルの隅のほうへと歩いていった。

そこで声を変え、あの賭場に電話をかける。

「そっちの責任者を出しなさい。取引したい『物』があるの。あたしの時間を無駄にしてみなさいよ。社長が知ったら、あんたなんか消されるわよ?」

上から目線の威圧感を存分ににじませると、受話器の向こうの男はすっかり気圧され、逆らう気配すら見せなかった。

ほどなくして、聞き慣れない声が電話口に出る。責任者が出てきたのだ...

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