第305章

「どこのどいつが言い出したのかしらね。『自分の娘をこの手で殺せたら、借金を半分帳消しにしてやる。そのあとも遊ばせてやる』って……それで、あの人は……あの人は……」

アガサはそこまで言うと、ふっと目を閉じて、がくりと頭を倒し、そのまま意識を失った。

水原美香はがたんと立ち上がり、目を見開く。

「今、なんて言ったの? あの人、自分の子どもを殺したってこと?」

セシルは苦しげに顔を歪めた。

「……ええ。子どもは……死んだの」

水原美香が口を開こうとした、そのとき。

アガサがびくんと上体を起こした。

「殺してやる! あいつを! 私の子どもを!」

水原美香は慌てて彼女の肩を押さえ、真...

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