第316章

野次馬の中には、スマホを取り出して撮影している者までいた。

水原蛍が階段を下りてくると、梅原淳は抑えきれない笑みを浮かべる。

「水原社長、就任初日から会社に泥を塗るなんて、さすがですねえ。これ、もしライバル会社なんかに見られたら、うち錦繍宝石が何十年もかけて積み上げてきた評判なんて、一発で吹き飛びますよ」

水原蛍は何も言わず、黙ってスマホを取り出して番号を押した。

「もしもし、警察の方ですか。こちらに一名――」

東雲奥さんがそれを聞いて青ざめ、慌てて飛びかかるようにしてスマホを奪い取ろうとする。水原蛍は、すっと身を引いてかわした。

「警察の方、この人、今度は私にまで手を出し――」...

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