第322章

「その一言だけで十分よ」

「そうだ、水原社長に何を聞かれても、知ってることは全部話しなさい」

瀬戸志尚が去っていく背中を見送りながら、楠山柚乃はふうっとため息を吐いた。

「はあ……マジでだるい。仕事だけでもうんざりなのに」

   ◇ ◇ ◇

水原蛍の社長室。

「水原社長、人をお連れしました」

ドアが閉まるのを待ってから、水原蛍は山口瀬良に視線を向けた。

「掛けて。資料を見る限り、あなたは山口瀬良。当社のコストコントロール担当、合ってるわね?」

山口瀬良は水原蛍を見据え、鼻で笑うように顎を反らした。

「そうですけど。それが何か?」

水原蛍は微笑みを崩さない。

「ひとつ聞...

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