第323章

「会社はどう? 会いたいよ。錦繍宝石に行ってから、毎日忙しいってメッセージもくれないし。会いたい~」

 水原蛍は、どうにか気持ちを整えてから答えた。

「旦那さん、忙しいのは本当ですよ。こんな大きい会社ですから、やることが山ほどあるんです」

「今夜、二人だけで夕飯でもどう?」

 そう言われて、しばらく考える。二人きりで外食なんて、もうずいぶんしていない。

「いいですよ」

 高橋逸人から、嬉しそうなスタンプが返ってくる。

 蛍の気分も、少しだけ軽くなった。

 そのとき、太田木月がドアを押し開けて入ってきた。

「水原社長、昨日のあの老夫婦、また押しかけてきました」

 蛍は聞くな...

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