第42章

水原陽一が急いでテントに入ると、中には平沢雲子だけがパソコンに向かっていた。

「陽一、どうしたの?」

「雲子姉さん、大事なことがあるんだ。もし約束してくれなかったら、ひざまずいてお願いするしかない」

「何のこと?言ってごらん、ひどいことでなければ、姉ちゃんは答えてあげるよ」

「雲子姉さん、すぐに高橋逸人がお母さんのことを聞くかもしれない。本当のことを言ってはいけない。お願いだから」

平沢雲子は疑問そうに言った。

「なぜ?」

水原陽一は困った表情を浮かべながら言った。

「あの無責任なお父さんは、お母さんが妊娠している時に逃げてしまった。お母さんは一人で私たちを育ててくれた。職場...

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