第44章

二階

「あの女、悪くないね」

「うん」高橋逸人は淡々と応じ、視線は彼女に留まっていた。

彼女が現れた瞬間、彼は彼女に気づいた。

まるで磁石のように互いに引き合い、彼の視線は相手から離れることができなかった。

松本賢一は高橋逸人を見て、手を上げて時計を見た。彼の視線はその女性にすでに十分間注がれていた。

まだ見ているのか?

「あの女、美しいか?」

高橋逸人は迷わず頷いた。

松本賢一は彼を少し驚きながら見つめ、彼は20年以上彼を知っているが、彼が女性を褒めるのは初めてだ。彼の傍らに5年間いた水原美香ですら、彼は褒めたことがなかった。

「信じられない。生涯で、君が女性を美しいと...

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