第56章

「もし輝煌グループの株を手放すなら、代わりに見合うだけの新しい宝飾会社を用意できる。どうだ?」

水原蛍は微動だにせず言い返した。「新しい宝飾会社ひとつで私を丸め込むつもり? どうして母の株を水原美香という他人に奪われるのを黙って見ていなければならないの? なぜよ!」

「お前の母親が創業した輝煌グループだが、彼女が持っていた株はすでにお前の父親である水原隆一によって無効化されている。法的に言えば、この会社は水原隆一のもので、お前の母親とは何の関係もない」

それを聞き、水原蛍の顔に険しい影が差した。

「母の株が無効化された?」

あり得ない。夫婦の共有財産なのに、どうして無効化などできる...

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