第83章

RMEの十七階。

水原蛍はまだ新しい製品の設計図作りに忙殺されていた。そのとき電話が鳴った。

携帯を手に取って見ると、着信表示は水原美香だった。

眉をひそめながら、何気なく電話に出る。

「何の用?」

水原美香は上機嫌だった。「蛍さんはまだ何が起こったか知らないようね」

「どういう意味?」

水原美香は冷たく鼻を鳴らした。「あなたの二人の息子はもう死に体なのに、まだそんなに冷静でいられるなんて。さすがに感心するわ」

水原蛍の顔色が変わった。不吉な予感が頭をよぎる。

「あの二匹の雑種、どうやら誘拐されたみたいよ。今は生きているか死んでいるかも分からない。妹として親切に教えてあげる...

ログインして続きを読む