第609話

私は速く眠りに落ちたに違いない。暗闇の中で目が覚めると、アパートには食べ物の香りが漂い、かすかな音楽が聞こえていた。それはジャネッタがキッチンにいるという意味で、様子を見るに私は一日中眠っていたようだ。思っていた以上に休息が必要だったのだろう。私はぼんやりとして頭がくらくらしながら起き上がる。変な感じがする。熱いが、ほてりというわけではない。熱っぽく、吐き気が全身を覆っている。頭はズキズキし、喉が痛むほど喉が渇いている。体は重く、インフルエンザのように痛み、立ち上がろうとすると調子が悪い。

床に足を滑らせると、腹部に突然の鋭い痛みが走り、息が詰まる。思わず大きな「あぁぁ」という声を漏らし、お...

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