第61章 — 敬意を持って

ナサン視点

マディソンが、腰をくねらせるようにしてアパートに入ってきた。

「何の用だ、マディソン?」俺は尋ねた。

「ナサン、礼儀はどこへ行ったの?」彼女は言った。「飲み物のひとつも勧めてくれないの?」

俺は髪をかき上げた。「飲み物でもいるか、マディソン?」

「シャンパンがあるなら一杯いただくわ、ナサン」深紅の唇でマディソンが笑った。

「すぐ持ってくる」そう言ってキッチンへ向かった。戸棚からシャンパングラスを取り、ワインセラーからボトルを取り出す。婚約を祝って、アメリーと二人で乾杯したあの一本だと思い出して、思わず口元が緩んだ。コルクを抜き、グラス一杯だけ注ぐ。このシャンパンを、アメ...

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