第107話私のところに戻ってくる準備をしなさい

セロン視点

俺はレイラを見下ろした。怒りに燃える瞳、憤りで紅潮した頬。そんな彼女の姿を見ても、俺の中に騎士道めいた衝動は欠片も湧かなかった。代わりに、もっと昏く、もっと原始的なものが目を覚ましたのだ。秒を追うごとに理性がほどけていくのがわかった。

六年だ。俺は徹底して禁欲してきた。彼女が俺の人生から姿を消したあの日以来、ほかの女に指一本触れていない。

……くそ、欲しい。どうしようもなく。狂おしいほどに。渇きは薬物みたいに血管を駆け巡り、判断を曇らせた。

彼女の反応が変わったのに気づく。俺の思考、俺の欲望を察したのだろう。耳まで真っ赤になり、その赤みが首筋へと広がっていく。怒っているはず...

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