第108話彼女を送り出せ

セロン視点

俺は振り返りもせずレイラの部屋を出た。背後には、呆然と立ち尽くす彼女だけが残った。

スターリング邸に着くと、屋敷の中はひどい有様だった。昨夜の慈善パーティーでの醜態が尾を引き、使用人たちは落ち着かない様子で右へ左へと走り回っている。母は人前で恥をかかされた怒りのあまり半狂乱になって帰され、父はそんな母の癇癪に慣れ切ったように、宥めるでもなく無反応だった。

母は俺の姿を見た瞬間、顔を怒りで歪めた。

「やっと顔を出す気になったの?」噛みつくように言う。

俺は向かいの席に腰を下ろし、冷えた表情のまま口を開いた。「言いに来たのは一つだけだ。選択肢は二つ。ひとつ、海外へ行って一年戻...

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