第149話薬漬けになって

レイラ視点

目の前に立つセロンの洗練された佇まいを見た瞬間、断ろうとした言葉は喉の奥で霧散した。彼は非の打ちどころがないほど完璧だった。仕立てのいいスーツが長身をいっそう引き立て、広い肩と揺るぎない姿勢が圧倒的な存在感を放っている。

口を開き、断りかけたそのとき、ノアの弾んだ声が割り込んだ。

「ママ、パパと踊って!」

視線を落とすと、小さな息子が希望と興奮で目をきらきらさせていた。こんな顔をされて、どうして拒めるというのだろう。

その無邪気な熱に、私の抵抗は溶けていく。

「……わかったわ」

渋々、セロンへ手を差し出した。慣れた手つきで彼の指が私の指を包み込み、もう片方の手が腰へと回る...

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