第280話彼に私の面倒を見させて

レイラ視点

テロンだって、あまり余裕があるほうじゃなかった。額に浮かんだ汗の粒が、彫りの深い顔の輪郭を伝って落ち、私の肌に触れる。火照って熱い身体に、ひやりとした冷たさが走って、妙にくっきりと感じられた。

深い瞳は嵐の海みたいに欲望をうねらせ、暗く、荒々しく渇いていた。首筋にかかる息は重くて熱く、そのたびに敏感な肌にぶわっと鳥肌が立つ。彼の身体に宿る緊張は手に取るようで、今にも張りつめた糸が切れそうだった。どの筋肉も、抑え込む意志に巻き上げられたように固く、きつく。

テロンは震えるように大きく息を吸い、目に見えて自分を抑えた。胸が努力のぶんだけ膨らむ。頭を下げると、濡れたこめかみに鼻先を...

ログインして続きを読む