第29章あなたは結婚していますか?

レイラ視点

七時を少し回ったころに帰宅した。実験機器に何時間も屈みこんでいたせいで、肩がずきずき痛む。玄関のドアを押し開けた途端、ジョーン特製のパスタソースの香りがふわりと迎えてくれた。

「ママ、帰ってきた!」

食堂のほうからミアの弾んだ声が響き、その直後、木の床を小さな足がぱたぱたと駆けてくる音がした。ミアは勢いよくわたしの腕に飛びこんできて、わたしは間一髪でバッグを落とし、受け止めた。

「今日のわたしの小さな探検家さんは、どうだった?」

抱きしめながら聞くと、ミアは元気よくうなずいた――そのとき、小さな手に医療用のしっかりした絆創膏が貼られているのが目に入った。

胸がきゅっ...

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