第69章疑似自閉症

テロン視点

玄関をくぐったばかりだというのに、ノアが駆け寄ってきて、俺の脚にぎゅっと抱きついた。

「パパ、ぼくも温泉に行っちゃだめ?」ノアは期待に満ちた目で見上げてくる。

俺はそっけなく答えた。「だめだ」

ノアはスーツのズボンを引っぱり、身体を左右にゆらゆら揺らしながら食い下がる。「お願い。行けたら、レイラとミアにも会えるし……」

その名を聞いた瞬間、彼女が突きつけてきた契約違反の違約金のことが脳裏をよぎり、眉間が勝手に寄った。

「だめだ!」今度は声が鋭くなる。「それに、これからはあいつと一緒にいる時間を減らせ!」

ノアはぴたりと固まり、大きな瞳に戸惑いを満たしたまま、俺を見上げ...

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