第221章 酔ったふり

林田ククの心臓がどくんと大きく跳ね、呼吸が一瞬止まる。彼女は視線を上げ、彼を冷ややかに見据えて言った。

「何ですか」

藤原深は胸元の服を引っ張り、顔を近づけて匂いを嗅いだ。次の瞬間、露骨に嫌そうな顔をして服を体から離し、眉を寄せる。

「くっせぇ……」

彼は手を伸ばして林田ククの小指を掴んだ。その声は心細げで、どこか委縮しているようだった。

「なぁ、俺、すげぇ臭い。風呂入りたい……」

藤原深はうつむいていた。普段は綺麗に撫でつけているオールバックが先ほどの騒ぎで乱れ、数本の髪が額に落ちて気だるげな雰囲気を醸し出している。

室内の薄暗い照明が、彫りの深い顔立ちを照らし出す。長く濃い...

ログインして続きを読む