第265章 新しい恋

彼女が断ると、川崎司光もそれ以上無理強いはしなかった。「気をつけて」と短く告げ、電話は切れた。

林田はスマホを取り出し、配車サービスで車を呼んだ。ここは都心だけあって人通りも多く、すぐに近くのドライバーが捕まった。

藤原深が建物から出てきた時、林田は歩道の縁石に立ち、辺りを見回していた。どうやら車を探しているらしい。

タクシー待ちか? こいつはいいアピールの機会だ。何せ、今の俺には車がある。

藤原深は彼女の傍らに歩み寄ると、わざとらしく咳払いをして林田の注意を引いた。

「どこへ行くつもりだ? 俺が送ってやる」

林田は彼を一瞥もしなかった。

「結構です。もうアプリで車を手配しまし...

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