第273章 おんぶして

「えっ、ちょっと何その言い方。雲楽ちゃんのどこが悪いって言うのよ」

 佐藤の母は不満げに反論した。

 この手の説教は初めてではない。何を言っても無駄だと悟っている佐藤時言は、反論することなく、二人を無視してそのまま立ち去った。

 藤原雲楽は保温バッグを強く握りしめ、彼が去っていく方向を失望の眼差しで見送った。

 こんな夜更けにわざわざ会社に行って残業だなんて。家で仕事ができないわけがないし、彼は明らかに私を避けているのだ。

 佐藤の母は彼女をリビングへ促し、心底気の毒そうに言った。

「気にしなくていいわよ。あの子は見る目がないんだから。あの子が食べないなら、私がいただくわ」

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