第279章 すべてあなたのもの

 もうひとつ、危うく見落とすところだった重要な点がある。

 林田ククは薬を飲み始めてから、一定の間隔で必ず検診を受けていた。毎回、青山静が前もって医者の予約を取り、林田ククは病院へ行って検査を受けるだけでよかった。

 その検査結果は、いつも「異常なし」。そうでなければ、藤原深もこんなに長いあいだ、まったく疑いも抱かずにいられるはずがない。

 今になって振り返れば――おそらく青山静は医者に金を握らせ、偽の検査報告書を出させていた。そうやって徹底的に欺いてきたのだろう。

 もし、そこまでが事実だとしたら――。

 ぞくり、と背筋を冷水でなぞられたような感覚と共に、藤原深の背中に冷や汗がに...

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