第281章 家宝を渡せ

藤原深は仕事を片付けたばかりで、林田ククとのチャット画面を呆然と見つめていた。その時、不意にポップアップした新着メッセージに驚き、手が震えてスマホを取り落としそうになる。

我に返った彼は、この機を逃すまいとすかさず林田ククに音声通話をかけた。

どうしても、林田ククの声が聞きたかったのだ。

しばらく呼び出し音が続いた後、ようやく繋がった向こう側から、林田ククの不機嫌そうな声が響く。

「何ですか? 私の意思表示、まだ明確じゃなかったですか?」

念願の声を聞けたことで、藤原深の心臓が跳ねる。彼の口調には、自分でも気づかないほどの慎重さと怯えが滲んでいた。

「……もう、俺のこと怒ってない...

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