第288章 いい男なんかじゃない

車が今にも走り去ろうとしている。神崎遠は深く考える間もなく、慌てて自分の車を出し、その後を追った。

後ろをつけていくうちに、前の車とそのナンバープレートに見覚えがあるような気がしてきたが、どうしても思い出せない。

マイバッハが林田久久をあるマンションの前に送り届ける。彼女が上の階へ上がった後も、その車はしばらくその場に留まり、やがて走り去っていった。

相手が走り去る直前、神崎遠はすかさずその車の写真を撮り、藤原深に送信した。メッセージにはこう添えてある。

「お前の嫁、言い寄られてるぞ!」

写真を送ってからしばらく経っても、藤原深からの返信はない。神崎遠が焦れったく思い、電話をかけよ...

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