第307章 勝訴

前の席の若い女二人が、ドンという強い衝撃に体を揺らされ、振り返って藤原深を睨みつけた。

「なんで椅子蹴るのよ!」

藤原深は悪びれる様子もなく淡々と返す。

「狭いからな。脚が長くて窮屈だから、つい当たっただけだ」

「嘘ばっかり。あんなに強く蹴っておいて、わざとじゃないわけないでしょ!」

今にも口論になりそうな気配に、廷吏が慌てて制止に入る。

この騒ぎも手伝って、裁判長は十分間の休廷を宣言した。

木槌が鳴るや否や、林田ククは神崎遠に声をかけた。

「ちょっとトイレに行ってくる」

言い残して足早に立ち去る彼女の背中を、傍聴席から急いで駆けつけた藤原深が捉え、慌てて呼び止めた。

「...

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