第312章 彼女を騙して

藤原深が歩み寄って祖父の体を支えようとしたものの、返ってきたのは呆れたような白眼とあからさまな嫌悪の態度だけだった。

祖父は彼をじろじろと値踏みするように見て吐き捨てた。

「図体ばかりでかくて、なんて甲斐性がないんだ。数日したら、滋養強壮に効く漢方の材料をたっぷり屋敷に届けてやるからな。ちゃんと煎じさせて飲むんだぞ」

藤原深は頭を痛めるように言った。

「お祖父さん、勘弁してくださいよ」

彼と林田ククはもう離婚したというのに、このタイミングで滋養強壮の薬湯など飲まされたら、身のやり場がなくて悶え死ぬだけではないか。

一階へ下りると、祖父は鬱陶しそうに彼の手を振り払った。

「全く、...

ログインして続きを読む