第330章 人をハメる

朝日明美はマンションのエントランスを出ようとしたところで、ふと足を止めた。

上階へ行くはずだったのに、どうして外へ向かっているのだろう。

全部あのクズ男のせいだ。腹が立ちすぎて、本来の目的を忘れるところだったのだ。

きびすを返して戻ろうとしたが、後から追いかけてきた神崎遠に腕を引かれ、そのまま外へと連れ出されてしまった。頭の整理が追いつかないうちに車へ押し込まれ、シートベルトまで締められる。

怒り心頭に発した朝日明美は、すぐさまシートベルトを外そうと手を伸ばした。

神崎遠は一足早くバックルを手で押さえ込み、彼女の目を真っ直ぐに見据えて低い声で言った。

「兄貴は今日出た林田ククの記...

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