第347章 盗聴器を仕掛ける

幸い、林田ククが素早く横へ身をかわしたおかげで、水は彼女にかからずに済んだ。

ククが自分にぶつかってきた人物を振り返ると、黒いロングドレスを纏ったその女は、少しばかり傲慢な目をしていた。そして、その顔にはひどく見覚えがあった。

二秒ほど記憶を探り、ようやく思い出す。以前、一緒に食事をした柳田春奈——川崎司光の従妹だ。

柳田春奈は林田ククをちらりと見やると、悪びれる様子もなく言った。

「ごめんなさいね。見えなかったわ」

謝罪の言葉を口にしてはいるものの、その態度はいい加減で、誠意の欠片も感じられない。

林田ククが眉をひそめ、何か言い返そうとした矢先、柳田春奈は彼女を無視して通り過ぎ...

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