第370章 魔術

林田ククが説明した。

「それ、仕事のときに着る衣装だよ。今日は週末でしょ。魔術師だって休みは休むの。休みの日にあれ着て出てきたら変じゃない? ね?」

あまりに真面目な口ぶりで語るものだから、林田陽はぽかんとしてしまう。

数秒考えたあと、こくりとうなずいた。

「たしかに……すごく筋が通ってる。じゃあ、どんなマジックできるの?」

「できるの、いっぱいあるよ」

そう言いながら、林田ククは両手のひらを彼の目の前に広げた。

「ほら、空っぽ。なにもないでしょ?」

林田陽は息を詰めるほど真剣に見つめ、うなずく。

「うん、なにもない」

林田ククは目を細めてにやりと笑うと、手をぎゅっと握り...

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