第382章 閉じ込められる

迫る時間を確認し、林田ククはエレベーターへと駆け出した。ボタンを押そうとした瞬間、芹沢風香の手が伸びてきて彼女を制止した。

林田ククは怪訝そうに振り返った。「どうしたの?」

芹沢風香は林田ククを上から下まで見定めると、思案顔で眉をひそめ、不満げに言った。「その格好でオーディションに行くつもり?」

林田ククは芹沢風香の視線を追って自分の足元を見た。そこで初めて、淡い色の白いワンピースに泥汚れがべったりと付いているのに気づいた。さきほど追突事故に遭い、車を降りて対応した際に擦れてしまったのだろう。

確かにこの格好でオーディションに向かうのは監督に対して失礼だが、時間が迫っており、着替える...

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