第387章 彼女を家まで送る

林田ククは逃げ込むようにエレベーターへ滑り込み、なのに頬の熱だけがいつまでも引かなかった。

――わたし、ほんとにどうかしてる。

藤原深とは、これ以上踏み込みすぎないって決めたはずだ。なのにさっき、こちらから関係を持ちかけそうになった。しかも当の本人は、そんな気配すらなかったというのに。

じゃあわたしは何? 勝手に盛り上がって、恥をさらしただけ?

林田ククは自分の情けなさを罵りながら、同時に藤原深の鈍さにも腹を立てた。こっちが勝手に赤っ恥をかいたみたいじゃない。

「チン」

扉が開き、林田ククは階数表示も見ずに――一階だと思い込み――そのまま外へ出た。

ところが、目の前に広がってい...

ログインして続きを読む