第392章 嵌められる

特訓当日の朝――。

 朝日明美は林田ククのスーツケースを何度も何度も点検し、こっそり護身用の道具を山ほど忍ばせていた。

「何かあったら、絶対に電話しなさいよ。あたし、どこにいたってすぐ駆けつけるからね」

 ぶつぶつ言う明美に、ククは軽く笑って返す。

「はいはい、分かった」

 時間が迫り、明美は慌ててスーツケースを閉めると車の鍵を掴み、玄関へ向かった――その瞬間、スマホが鳴った。

 画面を一瞥した明美は即座に切る。

 だが着信はしつこい。

「出れば? ずっと鳴るよ」

 ククに言われ、明美はしぶしぶ通話を取った。相手が何か言った途端、明美の顔色が変わる。

「クク、ちょっと待っ...

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