第394章 薬を届ける

林田ククの言葉が落ちるや否や、水原心柔は喉元を詰まらせたように息を呑み、顔色がさっと悪くなった。

だがその背後から、ひとりの女優が鼻で笑いながら進み出る。

「いい加減、芝居やめたら? そんなの、誰が信じるっていうの」

林田ククはそちらへ視線を移した。うっすら記憶がある。杉浦世奈。爆発的に当たった代表作はないが、ゴシップだけはやたら多い女。

つい最近、元のパトロンに切られた――そんな噂も聞いていた。

杉浦世奈は、水原心柔を後ろ盾にしているつもりなのだろう。林田ククなど眼中にないとばかりに、嘲る。

「こんな堂々と嘘つく人、初めて見た。どうせ誰も本気で確認しないって分かってるから、わざ...

ログインして続きを読む