第396章 検査

林田ククは、藤原深とまた言い争ういつもの流れに踏み込むのが嫌で、いっそ目を閉じた。見なければ、気も楽になる。

――が、頭の中はちっとも静まらない。

正直、杉浦世奈のあの言葉は気にしていない。けれど特訓初日からこんなことが起きた以上、この先もきっと穏やかじゃ済まない。

面倒ごとは大嫌いだ。

そう考えているうちに、また藤原深のことが浮かぶ。

朝、田中申の口ぶりでは、藤原深は相当忙しいらしい。それなのに深夜、わざわざ車を飛ばして薬を届けに来た。

以前なら、視線ひとつ寄こすのすら億劫がっただろう。せいぜい部下に消毒液でも投げさせて終わりだ。

それが今はどうだ。自分で来た上に、手ずから薬...

ログインして続きを読む